<目次>
○会計検査院長(重松博之君) 平成二十二年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、平成二十三年九月六日、内閣から平成二十二年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を行って、平成二十二年度決算検査報告とともに、平成二十三年十一月七日、内閣に回付いたしました。
平成二十二年度の一般会計決算額は、歳入百兆五千三百四十五億余円、歳出九十五兆三千百二十三億余円でありまして、会計検査院はこれらの決算額を確認いたしました。
平成二十二年度の特別会計につきまして、会計検査院は十八特別会計それぞれの歳入、歳出の決算額を確認いたしました。
また、国税収納金整理資金は、収納済額五十一兆三千八百五十九億余円、歳入組入額四十一兆五千六百六十三億余円でありまして、会計検査院はこれらの受払額を検査完了いたしました。
平成二十二年度の政府関係機関につきまして、会計検査院は三政府関係機関それぞれの収入、支出の決算額を検査完了いたしました。
平成二十二年度の歳入、歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について、書面検査及び実地検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して九百余事項の質問を発しております。
検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。
まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項は、合計四百二十五件、百四十一億四千百二十二万余円であります。
このうち、収入に関するものは、二十二件、二十五億九千六万余円であります。
その内訳は、会計経理が適正を欠いていたもの、租税の徴収等が適正でなかったもの、保険料の徴収が適正でなかったもの、診療報酬の請求が適切でなかったものなどとなっております。
また、支出に関するものは、四百二件、百十五億一千百十六万余円であります。
その内訳は、会計経理が適正を欠いていたもの、委託費等の支払が過大となっていたもの、医療費等の支払が過大となっていたもの、補助事業の実施及び経理が不当なもの、貸付金の経理が不当なものなどとなっております。
以上の収入、支出に関するもののほか、現金が領得されたものが、一件、四千万円であります。
次に、平成二十二年十一月から二十三年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十四条又は第三十六条の規定により意見を表示し又は処置を要求いたしましたものは七十六件であります。
その内訳は、各都道府県に移管された高校奨学金事業の運営に関するもの、国営東郷土地改良事業及び国営ふらの土地改良事業の実施に関するもの、エネルギー対策特別会計の周辺地域整備資金の状況に関するもの、独立行政法人住宅金融支援機構の証券化支援勘定等における政府出資金の規模に関するもの、特定国有財産整備特別会計の貸借対照表に計上されている資産のうち剰余となっている不動産の有効活用に関するものなどとなっております。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項は五十四件であります。
その内訳は、安心・安全な学校づくり交付金事業に関するもの、調査等契約に係る契約事務手続に関するもの、不要財産の国庫納付に関するもの、次世代型高速増殖炉に関する革新技術開発に係る契約に関するもの、光サービス用装置の設置に関するものなどとなっております。
次に、不当事項に係る是正措置等の検査の結果につきましては、昭和二十一年度から平成二十一年度までの決算検査報告に掲記した不当事項のうち、是正措置が未済となっているものは四十一省庁等における五百七件、百三十一億四千四百十二万余円、このうち金銭を返還させる是正措置を必要とするものは四十省庁等における五百五件、百二十一億九千六百九万余円となっております。
また、平成二十一年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のうち、制度が廃止されたものなどを除いたものについて、改善の処置が一部履行されていなかったものが五件あり、このうち二件については不当事項として掲記しております。
次に、平成二十二年十一月から二十三年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して報告いたしましたものは十件であります。
その内訳は、さきに御説明いたしました各都道府県に移管された高校奨学金事業の運営に関するもの、国営東郷土地改良事業及び国営ふらの土地改良事業の実施に関するもの、エネルギー対策特別会計の周辺地域整備資金の状況に関するもの、独立行政法人住宅金融支援機構の証券化支援勘定等における政府出資金の規模に関するもののほか、緊急人材育成支援事業の実施状況及び求職者支援制度に関するもの、都道府県及び政令指定都市における国庫補助事業に係る事務費等の不適正な経理処理等の事態、発生の背景及び再発防止策に関するもの、航空自衛隊第一補給処における事務用品等の調達に係る入札・契約及び予算執行の状況に関するもの、国庫補助金等により都道府県等に設置造成された基金に関するもの、独立行政法人における運営費交付金の状況に関するもの、消費税の課税期間に係る基準期間がない法人の納税義務の免除に関するものとなっております。
次に、平成二十二年十一月から二十三年十月までの間におきまして、国会からの検査要請事項に関し、会計検査院法第三十条の三の規定により検査の結果を報告いたしましたものは、在外公館に係る会計経理に関するもの一件となっております。
次に、国会から検査の要請を受けた事項に関連する検査の状況を検査報告に掲記いたしましたものは、牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等に関するもの一件となっております。
次に、本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認め、検査報告に掲記いたしましたものは六件であります。
その内訳は、PFI事業の実施状況に関するもの、子ども・子育て支援対策における国の財政支援制度の実施状況に関するもの、義務教育費国庫負担金の検査の状況に関するもの、株式会社日本政策投資銀行による株式会社日本航空に対する貸付け等の状況に関するもの、独立行政法人が実施している融資等業務の状況に関するものなどとなっております。
次に、国民の関心の高い事項等に関する検査の状況として、これまでに御説明いたしました事例などを整理し、検査報告に掲記しております。
最後に、特別会計に関する法律の規定に基づき、平成二十二年十一月に内閣から送付を受けた平成二十一年度特別会計財務書類について検査した旨を検査報告に掲記いたしました。
以上をもって概要の説明を終わります。
会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいても更に特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
〔後略〕
○会計検査院長(重松博之君) 〔前略〕
次に、平成二十二年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、平成二十三年九月六日、内閣から平成二十二年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成二十二年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を行って、平成二十二年度国有財産検査報告とともに、平成二十三年十一月七日、内閣に回付いたしました。
平成二十二年度末の国有財産現在額は百一兆千九百三十九億余円、無償貸付財産の総額は一兆五百九十八億余円になっております。
検査の結果、国有財産の管理及び処分に関しまして、平成二十二年度決算検査報告に掲記いたしましたものは二十六件であります。
その内訳は、不当事項といたしまして、所管換えにより引き受けた土地に係る貸付料に関するもの、貸し付けていた土地に係る国有資産等所在市町村交付金に関するもの、国有林野の使用を許可する場合の許可使用料の算定に関するもの、浮き桟橋の係留ぐいの設置工事の設計に関するもの、意見を表示し又は処置を要求した事項といたしまして、特定国有財産整備特別会計の貸借対照表に計上されている資産のうち剰余となっている不動産の有効活用に関するもの、独立行政法人造幣局における国から承継した貴金属の売却等に関するもの、国立大学法人が保有している土地・建物の処分及び有効活用に関するもの、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしまして、独立行政法人海洋研究開発機構における不要財産の国庫納付に関するもの、滑走路等の舗装工事における横断勾配の設計及び施工に関するもの、借地上に新築等した庁舎等の建物に関するもの、特定検査対象に関する検査状況といたしまして、独立行政法人が実施している融資等業務の状況に関するもの、国会及び内閣に対する報告といたしまして、独立行政法人住宅金融支援機構の証券化支援勘定等における政府出資金の規模に関するものとなっております。
以上をもって概要の説明を終わらせていただきます。