<目次>
○会計検査院長(西村正紀君) 平成二十一年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、平成二十二年九月七日、内閣から平成二十一年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を行って、平成二十一年度決算検査報告とともに、平成二十二年十一月五日、内閣に回付いたしました。
平成二十一年度の一般会計決算額は、歳入百七兆千百四十二億余円、歳出百兆九千七百三十四億余円でありまして、会計検査院はこれらの決算額を確認いたしました。
平成二十一年度の特別会計につきまして、会計検査院は二十一特別会計それぞれの歳入、歳出の決算額を確認いたしました。
また、国税収納金整理資金は、収納済額五十兆四千八百四十五億余円、歳入組入額三十八兆八千二百二十七億余円でありまして、会計検査院はこれらの受払額を検査完了いたしました。
平成二十一年度の政府関係機関につきまして、会計検査院は三政府関係機関それぞれの収入、支出の決算額を検査完了いたしました。
平成二十一年度の歳入、歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について、書面検査及び実地検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して一千五百余事項の質問を発しております。
検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。
まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項は、合計八百七十四件、二百二億二千八百五十九万余円であります。
このうち、収入に関するものは、二十五件、二十四億九千四百十万余円であります。
その内訳は、租税の徴収が適正でなかったもの、保険料の徴収が適正でなかったもの、使用料等の徴収が適切でなかったもの、診療報酬の請求が適切でなかったものなどとなっております。
また、支出に関するものは、八百四十七件、百七十六億八千三百二十九万余円であります。
その内訳は、会計経理が適正を欠いていたもの、施工が適切でなかったもの、保険の給付が適正でなかったもの、医療費の支払が過大となっていたもの、補助事業の実施及び経理が不当なものなどとなっております。
以上の収入、支出に関するもののほか、用地の管理が適切でなかったもの、委託契約の実施に当たり委託先の会計経理が適正を欠いていたものが、二件、五千百十九万余円であります。
次に、平成二十一年十一月から二十二年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十四条又は第三十六条の規定により意見を表示し又は処置を要求いたしましたものは六十六件であります。
その内訳は、株式会社整理回収機構が平成十一、十二両年度に行った整理回収業務による利益に関するもの、特別会計への一般会計からの繰入れの適正化等に関するもの、農林水産省及び独立行政法人農畜産業振興機構が交付した補助金等により公益法人等に造成された基金が保有する資金の有効活用に関するもの、独立行政法人中小企業基盤整備機構が保有している第二種信用基金の規模等に関するもの、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定における利益剰余金に関するものなどとなっております。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項は三十九件であります。
その内訳は、貸付財産に係る国有資産等所在市町村交付金の交付に関するもの、長期出張者の情報収集活動の根拠となっている業務協力協定に関するもの、石油等調査業務委託契約における業務委託料の算定に関するもの、国際能力開発支援センターの運営委託契約に関するもの、加入者宅等への派遣工事の実施に関するものなどとなっております。
次に、不当事項に係る是正措置等の検査の結果につきましては、昭和二十一年度から平成二十年度までの決算検査報告に掲記した不当事項のうち、是正措置が未済となっているものは三十七省庁等における五百件、百三十一億千五百三十九万余円、このうち金銭を返還させる是正措置を必要とするものは三十七省庁等における四百九十八件、百二十八億八千八十三万余円となっております。
また、平成二十年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のうちに、改善の処置が一部履行されていなかったものが五件あり、このうち二件については不当事項として掲記しております。
次に、平成二十一年十一月から二十二年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して報告いたしましたものは六件であります。
その内訳は、さきに御説明いたしました株式会社整理回収機構が平成十一、十二両年度に行った整理回収業務による利益に関するもの、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定における利益剰余金に関するもののほか、科学研究費補助事業における研究成果報告書等の提出に関するもの、制度改革促進基金造成事業により造成された制度改革促進基金の効果的な活用に関するもの、国会議員の選挙等の執行経費の適正化に関するもの、廃校又は休校となっている公立小中学校の校舎等の有効活用に関するものとなっております。
次に、平成二十一年十一月から二十二年十月までの間におきまして、国会からの検査要請事項に関し、会計検査院法第三十条の三の規定により検査の結果を報告いたしたものは三件であります。
その内訳は、簡易生命保険の加入者福祉施設等の譲渡等に関するもの、牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等に関するもの、在外公館に係る会計経理に関するものとなっております。
次に、本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認め、検査報告に掲記いたしたものは四件であります。
その内訳は、株式会社整理回収機構における住専勘定の財務の状況及び債権回収等業務の実施状況等に関するもの、一般会計からの繰入金を歳入としている特別会計における当該繰入金の繰入れ及び繰入れの対象となるべき経費に係る歳出予算の執行の管理等に関するもの、都道府県等における国庫補助事業に係る事務費等の経理の状況に関するもの、独立行政法人及び国立大学法人における会計監査人の監査の状況に関するものとなっております。
次に、国民の関心の高い事項等に関する検査の状況として、これまで御説明いたしました事例などを整理し、検査報告に掲記しております。
最後に、特別会計に関する法律の規定に基づき、平成二十一年十一月に内閣から送付を受けた平成二十年度特別会計財務書類について検査した旨を検査報告に掲記いたしました。
以上をもって概要の説明を終わります。
会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいても更に特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
〔後略〕
本報告書は、制度改革促進基金の規模は適正なものとなっているか、回収した資金の処理は適切かなどについて検査した結果、制度改革促進基金造成事業により造成された制度改革促進基金の効果的な活用について経済産業大臣に対して意見を表示したことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十二年七月二十八日、九月八日、同月二十四日、十二月八日に計七件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
最初に、国から補助金の交付を受けて各信用保証協会に造成された制度改革促進基金の規模について経済産業大臣に対して意見を表示したものを御説明いたします。
国は、平成十七年度から、信用保証協会が部分保証の実行により生じた損失を処理するため制度改革促進基金を造成する事業に対し補助金を交付しております。この補助金の配分や各協会に造成された基金の規模等について検査いたしました。
検査の結果でございますが、多数の信用保証協会において基金が必要額を超えて過大に保有されている事態や、基金を取り崩した後に回収された資金が基金に戻し入れられていない事態が見受けられましたことから、経済産業省に対して、基金が必要額を超えて過大に保有されることのないよう補助金の交付の在り方について見直しを行うなどすることにより、基金の効果的な活用が図られるよう意見を表示いたしました。
〔後略〕
本報告書は、科学研究費補助事業に係る補助金の交付を受けた研究者には国民に対する説明責任を果たすとともに研究成果を社会に還元することが求められていることなどにかんがみ、独立行政法人日本学術振興会が実施する科学研究費補助事業における研究成果報告書等の提出状況等について検査を実施した結果、研究成果報告書等が長期間提出されていない事態等について独立行政法人日本学術振興会理事長に是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十二年七月二十八日、九月八日、同月二十四日、十二月八日に計七件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
〔中略〕
次に、科学研究費補助事業について、独立行政法人日本学術振興会理事長に対して適宜の処置を要求し是正改善の処置を求めたものを御説明いたします。
日本学術振興会から科学研究費補助金の交付を受けた研究者は、研究期間終了後に研究成果報告書等を提出することが義務付けられております。この研究成果報告書等の提出状況等について検査いたしました。
検査の結果でございますが、研究成果報告書等が長期間にわたり提出されていない事態や、長期未提出者に対してこの補助金を新規に交付している事態がありましたことから、日本学術振興会に対して、研究成果報告書等を速やかに提出させるなどの是正の処置を要求し、また、長期未提出者に対する効果的な督促の実施や新規交付の制限等を行うよう是正改善の処置を求めました。
〔後略〕
本報告書は、国会議員の選挙等の実施について、近年、市町村合併により市町村数や市町村の規模が変化していること、期日前投票が定着したこと、開票時間の短縮等、選挙事務の効率化・迅速化が図られていることなどにかんがみ、都道府県及び管内の市町村に交付される執行経費について検査を実施した結果、投票所事務、開票所事務等の執行の実態が「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律」(昭和25年法律第179号)に基づく経費の算定の内容とかい離している事態等について総務大臣に対して意見を表示したことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十二年七月二十八日、九月八日、同月二十四日、十二月八日に計七件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
〔中略〕
次に、国会議員の選挙等の執行経費の交付額の算定について総務大臣に対して意見を表示したものを御説明いたします。
国会議員の選挙等の執行経費は、国が負担し、都道府県等に交付されることとなっております。平成十九年七月実施の参議院議員選挙及び二十一年八月実施の衆議院議員選挙の際に交付された執行経費について検査いたしました。
検査の結果でございますが、投票所に関する経費及び開票所に関する経費の基本額の算定の基礎となっている選挙事務従事者の従事時間数や配置人数等が実態と乖離していたり、開票所に関する経費の加算額の算定方法が実態を適切に反映していなかったりなどしていましたことから、総務省に対して、執行経費の交付額の算定を選挙事務の実態に即したものとすることなどにより執行経費の適正化を図るよう意見を表示いたしました。
〔後略〕
本報告書は、社会情勢の変化等に伴い、社会福祉施設等の必要性が高まっている状況を背景に、廃校又は休校となっている公立小中学校の校舎等の有効活用が求められていることなどにかんがみ、国庫補助金を原資として整備された廃校等施設の活用状況等について検査を実施した結果、耐用年数が残存し、かつ、耐震基準を満たしているにもかかわらず有効活用されていない廃校等施設が見受けられる事態について文部科学大臣に対して改善の処置を要求したことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十二年七月二十八日、九月八日、同月二十四日、十二月八日に計七件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
〔中略〕
次に、廃校又は休校となっている公立小中学校の校舎等について文部科学大臣に対して改善の処置を要求したものを御説明いたします。
公立小中学校等の校舎等は、廃校又は休校となった場合には、可能な限り積極的に有効活用されることが求められています。また、社会情勢の変化等に伴い、社会福祉施設の必要性が高まっている一方で、多額の財源を投入して新たな施設を整備することには限界があることから、廃校等施設の活用状況等について検査いたしました。
検査の結果でございますが、耐用年数が残存し、かつ、耐震基準を満たしているにもかかわらず有効活用されていない廃校等施設が見受けられますことから、文部科学省に対して、廃校等施設を有効活用した場合の活用効果等や、有効活用を図る際に利用可能な国庫補助制度を周知するなどして、社会情勢の変化、地域の実情等に応じた廃校等施設の一層の有効活用を図るよう改善の処置を要求いたしました。
〔後略〕
本報告書は、株式会社整理回収機構において、整理回収業務から生じた利益が速やかに預金保険機構を通じて国庫に納付されているか、回収された資金は適切に管理・活用されているかなどについて検査を実施した結果、株式会社整理回収機構が保有する平成11、12両年度の整理回収業務から生じた利益に係る資金の有効活用について内閣府特命担当大臣に意見を表示したことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十二年七月二十八日、九月八日、同月二十四日、十二月八日に計七件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
〔中略〕
次に、株式会社整理回収機構が保有する平成十一、十二両年度の整理回収業務から生じた利益に係る資金について内閣府特命担当大臣に対して意見を表示したものを御説明いたします。
金融庁、預金保険機構及び株式会社整理回収機構において、整理回収機構が行った整理回収業務から生じた利益に係る納付金の納付状況、資金の管理状況等について検査いたしました。
検査の結果でございますが、平成十二年ごろの金融機関の破綻が相次いで発生していた預金保険法の改正当時と比べて金融情勢等が変化してきているなどの状況において、十一、十二両年度の整理回収業務から生じた利益千八百三十七億余円に係る資金が整理回収機構において余裕資金として保有されている事態となっておりましたことから、その有効活用を図るため、預金保険機構を通じて国に納付させたり、預金保険機構において今後発生し得る国庫負担に充当したりするなど、国の財政に寄与する方策を検討するよう内閣府特命担当大臣あてに意見を表示いたしました。
〔後略〕
本報告書は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金について、国庫に納付することが可能な余裕資金はないかなどについて検査を実施した結果、上記の利益剰余金につき、国庫納付が可能な資金の額を把握し、将来においても、余裕資金が生じていないか適時に検討することとするとともに、これらの資金が国庫に納付されることとなるように適切な制度を整備するよう国土交通大臣に対して意見を表示したことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から、衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十二年七月二十八日、九月八日、同月二十四日、十二月八日に計七件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
〔中略〕
次に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定における利益剰余金について国土交通大臣に対して意見を表示したものを御説明いたします。
鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定に国庫納付が可能な余裕資金はないかなどについて、平成十九年度決算検査報告の特定検査対象に関する検査状況の一つの「国鉄清算業務に係る財務について」に記述し、その後も引き続き検査してまいりました。
検査の結果でございますが、特例業務勘定の長期収支見込みについて、リスクを相当程度見込むなどして試算しましたところ、余裕資金が生じていると認められましたことなどから、国土交通省に対して、国庫納付が可能な資金の額を把握し、将来においても、余裕資金が生じていないか適時に検討することとするとともに、これらの資金が国庫に納付されることとなるように適切な制度を整備するよう意見を表示いたしました。
〔後略〕
会計検査院は、平成20年次から22年次の3か年にわたり、全都道府県及び全政令指定都市を対象として、農林水産省及び国土交通省所管の国庫補助事業に係る事務費等の経理について会計実地検査を行った。検査の結果、すべての都道府県及び政令指定都市において、不適正な経理処理により需用費が支払われた事態又は補助の対象とならない用途に需用費、賃金若しくは旅費が支払われた事態が見受けられた。これらの事態については、平成19年度から平成21年度までの決算検査報告に不当事項等として掲記したところである。この報告は、潜在的な、あり得る検査要請に応えるものと言うことができ、いわば情報提供型の直接報告である。この概要は平成23年11月に作成されるはずの平成22年度決算の検査報告に記載される。
本報告書は、前記3か年の検査において判明した不適正な経理処理等の事態に関して、すべての都道府県及び政令指定都市の状況を記載するとともに、発生の背景、会計事務手続における問題点、再発防止策の状況、会計監査の状況等を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十二年七月二十八日、九月八日、同月二十四日、十二月八日に計七件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
〔中略〕
最後に、「都道府県及び政令指定都市における国庫補助事業に係る事務費等の不適正な経理処理等の事態、発生の背景及び再発防止策について」を御説明いたします。
二十年次からの三か年にわたる検査の結果、四十七都道府県及び十八政令指定都市全てにおいて不適正な経理処理等の事態が判明したことから、その発生原因や会計事務手続上の問題点について検査しましたところ、職務の分担による相互牽制が機能しにくい状況が見受けられました。また、再発防止策の内容等については、必ずしも十分でない点が見受けられました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、六十五都道府県市において、基本的な会計法令等の遵守に関する研修指導の徹底、契約及び検収事務の厳格化、職務の分担による相互牽制機能の強化等を推進すること、内部監査、監査委員監査、外部監査が連携を図り、内部統制が十分機能しているかについて継続的に監視評価を行うとともに、再発防止策が有効に機能しているかなどについても検証を行い、もって会計監査の強化充実を図ることが望ましいと考えております。
本院としては、今後とも、地方公共団体における補助金等の会計経理について、引き続き注視してまいりたいと考えております。
これをもって報告書の概要の説明を終わります。
よろしくお願いします。
5 「かんぽの宿」等の施設の譲渡等における不透明な契約の是正について
日本郵政株式会社の所有・運営する「かんぽの宿」等の施設の譲渡に当たって、契約内容や契約手続、譲渡額等に不透明な点などがあるとして、本年4月、総務省は、16の問題点を指摘するとともに、日本郵政株式会社法に基づく監督上の命令を発出する事態に至っている。また、旧日本郵政公社等が締結した譲渡等に関する契約において、譲渡後に当該施設が売却額を大きく上回る額で転売される事態が見られるなど、施設の譲渡等に関する契約内容の妥当性が疑問視される事態が相次いでいる。
政府は、日本郵政株式会社に対し、「かんぽの宿」等の施設の譲渡等に関する契約の締結に当たっては、公平性、透明性の確保等を図るよう対応させるべきである。
○委員長(神本美恵子君) 国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のうち、国会法第百五条の規定に基づく本委員会からの会計検査の要請に対する結果報告に関する件を議題とし、会計検査院から説明を聴取いたします。西村会計検査院長。この報告を行ったこととその検査結果の概要は平成21年度決算検査報告の第4章「第2節 国会からの検査要請事項に関する報告」に「簡易生命保険の加入者福祉施設等の譲渡等について」の件名で記載されている。
○会計検査院長(西村正紀君) 会計検査院は、国会法第百五条の規定に基づき平成二十一年四月十三日付けで参議院議長から会計検査及びその結果の報告の要請がありました「簡易生命保険の加入者福祉施設等の譲渡等について」につきまして、総務省、日本郵政株式会社などを対象に検査を行い、会計検査院法第三十条の三の規定に基づき二十二年三月十七日にその結果の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
検査しましたところ、かんぽの宿等の営業収益に比べて損益分岐点売上高が著しく高いものとなっていたり、国が周知宣伝施設の運営を委託したことにより生じた利益等が財団法人ゆうちょ財団に帰属することになっていたり、減損損失額の算定のため徴取した不動産鑑定評価書において鑑定評価の手法等が鑑定業者によって相違しているものなどが見受けられたりしました。また、公社の不動産売却における落札率は個別売却による一般競争契約において高い傾向にありました。さらに、株式譲渡契約締結に至るまでのプロセスは、MアンドAでは一般的なものと認められましたが、日本郵政株式会社の公的な側面にかんがみれば、公平性、透明性の確保に対する配慮が十分でなかったなどの問題が見受けられました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、かんぽの宿の抜本的な損益改善策を検討すること、減損会計の適用に当たり不動産鑑定評価を用いる場合は適切な鑑定評価額を徴することに努めること、不動産売却においては適時適切な売却方式等を選定することにより競争性を高めて譲渡価格の最大化を図ること、事業の一括譲渡等に当たって公平性、透明性を確保するため、契約に関する実施基準の策定に留意することなどが必要であると考えております。
これをもって報告書の概要の説明を終わります。
○委員長(神本美恵子君) 以上で説明聴取は終わりました。
牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等に関する次の各事項この報告を行ったこととその検査結果の概要は平成21年度決算検査報告の第4章「第2節 国会からの検査要請事項に関する報告」に「牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等について」の件名で記載されている。
@ 制度の概要及び施策の実施状況等
A 独立行政法人農畜産業振興機構、同機構の補助金交付先等に造成されている資金等の状況
○会計検査院長(西村正紀君) 会計検査院は、国会法第百五条の規定に基づき平成二十一年六月二十九日付けで参議院議長から会計検査及びその結果の報告の要請がありました「牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等について」及び「在外公館に係る会計経理について」の計二事項につきまして、関係府省、関係独立行政法人を対象に検査を行い、会計検査院法第三十条の三の規定に基づき二十二年八月二十五日及び十月六日にその結果の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
まず、「牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
検査しましたところ、肉用子牛等対策の施策の実施状況等につきましては、肉用牛の生産コストの低減や国産牛肉の価格水準の低下という成果を必ずしも十分発現させているとは言えない状況にありました。
次に、独立行政法人農畜産業振興機構や同機構の補助金交付先等に造成されている資金等の状況につきましては、全体として見た場合、支出額と比較して多額の資金を長期間保有している状況となっていました。また、事業実績額と比較すると多額の資金を保有している基金や、事業実績額に対する事務費の割合が高い基金等が見受けられました。さらに、基金に関する個別の事態といたしまして、基金事業としての在り方について検討を要するものや、経理等が適切を欠いていたものも見受けられました。このほか、基金の見直しにおける問題点等も見受けられました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、農林水産省及び独立行政法人農畜産業振興機構は、引き続き肉用牛の生産コストの低減を図ること、真に必要な場合のみ基金を造成して事業を実施すること、現在基金を造成して事業を実施しているものについては事業の在り方について幅広く検討することなどに留意して、牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策を適切かつより効率的、効果的に実施するよう努める必要があると考えております。
本院といたしましては、牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等について引き続き検査を実施して、検査の結果につきましては、取りまとめができ次第報告することといたします。
〔後略〕
在外公館に係る会計経理に関する次の各事項この報告を行ったこととその検査結果の概要は平成21年度決算検査報告の第4章「第2節 国会からの検査要請事項に関する報告」に「在外公館に係る会計経理について」の件名で記載されている。
@ 会計事務の体制の状況
A 資金の受入、保管等の状況
B 収入及び支出に係る会計処理の状況
C 施設及び物品の管理等の状況
D 監査の実施状況
○会計検査院長(西村正紀君) 会計検査院は、国会法第百五条の規定に基づき平成二十一年六月二十九日付けで参議院議長から会計検査及びその結果の報告の要請がありました「牛肉等関税を財源とする肉用子牛等対策の施策等について」及び「在外公館に係る会計経理について」の計二事項につきまして、関係府省、関係独立行政法人を対象に検査を行い、会計検査院法第三十条の三の規定に基づき二十二年八月二十五日及び十月六日にその結果の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
〔中略〕
次に、「在外公館に係る会計経理に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
検査しましたところ、会計事務の体制に関して、会計担当者の相互チェックが十分機能していない事態、資金の受入れ、保管等に関して、在外公館への外国送金において、一件当たりの送金額、資金の残額等が考慮されずに行われている事態、収入及び支出に係る会計処理に関して、随意契約の実施に当たり予定価格を定めていないなど会計法令等に則した処理が行われていない事態、施設及び物品の管理等に関して、長期間利用されていない行政財産や用途廃止したが処分されないままとなっている普通財産等を管理している事態、監査に関して、査察実施後長期間が経過しているのに事態が十分に改善されていない事態などが見受けられました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、外務省は、今回の検査結果を踏まえ、在外公館に係る会計経理について、内部統制が十分機能するよう努めるとともに、その事務処理を一層適切かつ効率的に執行するように努める必要があると考えております。
本院は、今回の検査結果に基づく改善策が確実に実施されているかを確認するなどのため在外公館に係る会計経理に関し引き続き検査を実施して、検査の結果につきましては、取りまとめができ次第報告することといたします。
これをもって報告書の概要の説明を終わります。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、平成二十一年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、平成二十二年九月七日、内閣から平成二十一年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成二十一年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を行って、平成二十一年度国有財産検査報告とともに、平成二十二年十一月五日、内閣に回付いたしました。
平成二十一年度末の国有財産現在額は百七兆三千七百四十八億余円、無償貸付財産の総額は一兆八百三十四億余円になっております。
検査の結果、国有財産の管理及び処分に関しまして、平成二十一年度決算検査報告に掲記いたしたものは十三件であります。
その内訳は、不当事項といたしまして、災害復旧に伴う工事における不適正な会計経理に関するもの、検疫所改修等工事の予定価格の積算に関するもの、空港用地の使用料等の算定に関するもの、被補償者に提供するために取得した代替地用地の管理に関するもの、駐機場のコンクリート舗装工の施工に関するもの、意見を表示し又は処置を要求した事項といたしまして、在外公館が管理する国有財産等の処分に関するもの、国立大学法人が保有している土地、建物の処分及び有効活用に関するもの、独立行政法人中小企業基盤整備機構が保有している第二種信用基金の規模等に関するもの、道路整備事業の実施に伴う代替地用地の取得、管理及び処分に関するもの、廃止された自動車教習所における跡地の利用状況に関するものとなっております。
以上をもって概要の説明を終わります。
よろしくお願いいたします。
○委員長(藤末健三君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。斉藤会計検査院事務総局第五局長。
○説明員(斉藤邦俊君) 日本放送協会の平成二十年度及び二十一度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。
〔略〕
また、二十一年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書等は、平成二十二年七月二十六日に内閣から送付を受け、その検査を行って同年十一月五日に内閣に回付いたしました。
〔略〕
また、二十一年度の決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。
これは、協会が旅館組合等との間で締結している受信契約の取次ぎ・収納等に係る業務委託契約において、組合員等の参加率や契約取次率が低率となっている旅館組合等が多数生じていたのに、委託料について、一律に事業所割引適用前の受信料の一五%相当額と算定していたことから、協会において、本件業務委託契約について、参加率の一層の向上を促すよう、業界団体との緊密な連携を図るとともに、参加率や契約取次率について一定の評価をするなどの契約内容の見直しを検討するなどして、受信契約の促進及び受信料の公平負担の徹底という目的に対して一層有効に機能するよう意見を表示いたしたものであります。
以上をもって概要の説明を終わります。