<目次>
○会計検査院長(西村正紀君) 平成二十年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。同様の説明を22年4月6日の衆議院決算行政監視委員会でも行っている。
会計検査院は、平成二十一年九月八日、内閣から平成二十年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を行って、平成二十年度決算検査報告とともに、平成二十一年十一月十一日、内閣に回付いたしました。
平成二十年度の一般会計決算額は、歳入八十九兆二千八十二億余円、歳出八十四兆六千九百七十三億余円、各特別会計の決算額の合計額は、歳入三百八十七兆七千三百九十五億余円、歳出三百五十九兆千九百八十二億余円でありまして、会計検査院はこれらの決算額を確認いたしました。
また、国税収納金整理資金は、収納済額五十六兆千八百五十七億余円、歳入組入額四十五兆五百三十四億余円でありまして、会計検査院はこれらの受払額を検査完了いたしました。
政府関係機関の平成二十年度の決算額の総計は、収入一兆八千二百四十八億余円、支出一兆七千八百四十七億余円でありまして、会計検査院はこれらの決算額を検査完了いたしました。
平成二十年度の歳入、歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について書面検査及び実地検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して一千二百余事項の質問を発しております。
検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。
まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項は合計五百九十三件、百二十三億二千九百九十三万余円であります。
このうち、収入に関するものは二十五件、二十六億七百三十八万余円であります。
その内訳は、租税の徴収が適正でなかったもの、保険料の徴収が適正でなかったもの、診療報酬の請求が適切でないもの、貸付料等の徴収が適切でないものなどとなっております。
また、支出に関するものは五百六十七件、八十八億三千十四万余円であります。
その内訳は、会計経理が適正を欠いているもの、委託費等の支払が過大となっているもの、保険の給付が適正でなかったもの、医療費の支払が過大となっているもの、補助事業の実施及び経理が不当なものなどとなっております。
以上の収入、支出に関するもののほか、固定資産の減損処理に当たり、会計経理が適正を欠いているものが一件、八億九千二百四十万余円であります。
次に、平成二十年十一月から二十一年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十四条又は第三十六条の規定により意見を表示し又は処置を要求いたしましたものは六十九件であります。
その内訳は、バリアフリー賃貸住宅貸付けの実施に関するもの、独立行政法人日本貿易振興機構が保有する保証金に関するもの、公益法人等に補助金を交付して設置造成させている資金等の有効活用に関するもの、中小企業金融安定化特別基金の活用に関するもの、学資金貸与事業における割賦金の回収及び返還期限猶予に関する指導に必要となる債務者の住所等の把握に関するものなどとなっております。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項は四十六件であります。
その内訳は、物納財産として引き受けた土地に係る国有財産台帳の価格改定を適切に行うよう改善させたもの、国民健康保険の財政調整交付金の交付額の算定を適切なものにするため、退職被保険者等の遡及適用に伴う一般被保険者数の調整を的確に行うよう改善させたもの、不要とされている資産について、譲渡を含む適切な処分に向けた調整を積極的に進めて、調整が付かない場合には国庫へ返納することとする処分計画を作成し、処分を円滑に進めるよう改善させたもの、技術協力業務の開発調査等を委託する契約において、契約相手方が海外に渡航する場合に割安な割引運賃で航空券を手配するよう定めることにより、委託費を経済的に執行するよう改善させたもの、コンピューターサービスの調達に当たり、特定調達に該当するものであることを踏まえ、透明性、公正性及び競争性が確保された契約事務を実施するよう改善させたものなどとなっております。
次に、不当事項に係る是正措置等の検査の結果につきましては、昭和二十一年度から平成十九年度までの決算検査報告に掲記した不当事項のうち、是正措置が未済となっているものは三十省庁等における四百八十一件、百三十一億五千四百七十七万余円、このうち金銭を返還させる是正措置を必要とするものは三十省庁等における四百八十一件、百三十一億三千七百八万余円となっております。
また、平成十九年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のうちに、改善の処置が一部履行されていなかったものが六件あり、このうち四件については不当事項として掲記しております。
次に、平成二十年十一月から二十一年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して報告いたしたものは六件であります。
その内訳は、さきに御説明いたしました中小企業金融安定化特別基金の活用に関するもの、国民健康保険の財政調整交付金の交付額の算定を適切なものにするため、退職被保険者等の遡及適用に伴う一般被保険者数の調整を的確に行うよう改善させたもののほか、独立行政法人における食事手当等の現金の支給に関するもの、還付金の支払事務に関するもの、電子申請等関係システムの利用状況に関するもの、精液採取用種雄牛の貸付けの有償化に関するものとなっております。
次に、平成二十年十二月から二十一年十月までの間におきまして、国会からの検査要請事項に関し、会計検査院法第三十条の三の規定により検査の結果を報告いたしたものは五件であります。
その内訳は、国土交通省の地方整備局等における庁費等の予算執行に関するもの、独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況に関するもの、年金記録問題に関するもの、防衛装備品の商社等を通じた輸入による調達に関するもの、各府省所管の公益法人の財務等の状況に関するものとなっております。
次に、本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認め、検査報告に掲記いたしたものは四件であります。
その内訳は、最近の金融情勢の下における公的資金未返済行を含む金融機関の財務の状況及び金融システムの安定化のための諸施策の実施状況に関するもの、都道府県等における国庫補助事業に係る事務費等の経理等の状況に関するもの、日本銀行の財務の状況及びその推移に関するもの、独立行政法人及び国立大学法人が管理運営する福利厚生施設等の状況に関するものとなっております。
次に、国民の関心の高い事項等に関する検査の状況として、これまで御説明いたしました事例などを整理し、検査報告に掲記しております。
最後に、特別会計に関する法律の規定に基づき、平成二十年十一月に内閣から送付を受けた平成十九年度特別会計財務書類について検査した旨を検査報告に掲記いたしました。
以上をもちまして概要の説明を終わります。
会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なおただいま申し述べたような事例がありますので、関係各省庁などにおいても更に特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
最初に、「取り崩される見込みのない中小企業金融安定化特別基金について、緊急保証による欠損の補てんにも充当できるようにするなど、有効活用を図るよう経済産業大臣に対して改善の処置を要求したもの」を御説明いたします。
十年十月から十三年三月まで、全国の信用保証協会で特別保証が実施されました。その実施に当たり新たに必要となる所要資金は、全額国の補助金により賄うこととされ、信用保証協会に金融安定化特別基金が設けられましたことから、同基金の状況について検査いたしました。
検査の結果でございますが、同基金は、今回の検査における試算において三百九十一億余円は取り崩されることなく協会に保有され続けることが見込まれる状況となっており、特別保証から別途国が損失補てん制度を設けている緊急保証等への借換えにより、更に取り崩されなくなる事態も見受けられました。しかし、現行の制度では、同基金は特別保証の欠損の補てんにのみ充てることができるとされております。したがって、経済産業省に対して、緊急保証による欠損の補てんにも充当できるようにするなど、特別基金の有効活用を図るよう改善の処置を要求いたしました。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、「厚生労働省において、国民健康保険の財政調整交付金の交付額の算定を適切なものにするため、退職被保険者等のそ及適用に伴う一般被保険者数の調整を的確に行うよう改善させたもの」を御説明いたします。
国民健康保険については各種の国庫助成が行われており、その一つとして、市町村が行う国民健康保険について財政調整交付金が交付されております。退職被保険者等の遡及適用に伴う一般被保険者数の調整が的確に行われ、ひいては財政調整交付金の交付額が適切に算定されているかについて検査いたしました。
検査の結果でございますが、多くの市町村において、一般被保険者数から遡及退職被保険者等の数を控除する調整が本来行われるべきであったのにこれが行われていなかったことにより、財政調整交付金が過大に算定される結果となっているなどしている事態が見受けられましたので、厚生労働省に指摘いたしましたところ、同省は、具体的な調整方法を明示するなどしてこれを周知する処置を講じました。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、「還付金が高額となっている申告について他の還付申告と区分するなどして支払事務に要する日数を短縮することなどにより、還付加算金の節減を図るよう国税庁長官に対して改善の処置を要求したもの」を御説明いたします。
税務署長は、国税を還付する場合には、所定の日の翌日から還付金の支払決定日までの日数に応じて、還付金の額に一定の割合を乗じて計算した金額を還付加算金として、当該還付金に合わせて支払うこととされております。税務署等における還付金の支払事務等が適切に行われているかなどについて検査いたしました。
検査の結果でございますが、還付金額が高額な申告を他の還付申告と区分していないことなどのため支払事務に多くの日数を要していて、その結果、還付加算金を多額に支払っていたことなどから、国税庁に対して、還付金額が高額な申告については、他の還付申告と区分するなどして早期に支払事務が完了するよう、国税局等及び税務署に対して十分な指導及び監督を行うことなどの処置を講ずるよう改善の処置を要求いたしました。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、「利用が低調となっていて整備・運用等に係る経費に対してその効果が十分発現していない電子申請等関係システムについて、システムの停止、簡易なシステムへの移行など費用対効果を踏まえた措置を執るよう内閣官房等十一府省等の長に対して意見を表示したもの」を御説明いたします。
各府省等が整備・運用している電子申請等関係システムの利用状況について検査いたしました。
検査の結果でございますが、電子申請率が一〇%以下と低迷しているシステムが十府省等で十二システム見受けられるなど、その効果が十分発現していないため、内閣官房に対して、システムの停止等の抜本的な措置をとることができるよう、当該措置をとる際の基準としての指標や手順等を明確化することについて各府省等と所要の調整を適時適切に行うように、また、十府省等に対して、システムの停止、簡易なシステムへの移行など費用対効果を踏まえた措置をとるように意見表示をいたしました。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
最後に、「精液採取用種雄牛の貸付けに当たり、貸付けを無償とせず貸し付けた牛から生産される凍結精液の販売による収入に応じ対価を徴収するなどするとともに、貸付先の選定を競争により行うなどして増収を図るよう独立行政法人家畜改良センター理事長に対して改善の処置を要求したもの」を御説明いたします。
独立行政法人家畜改良センターは、所有する精液採取用種雄牛を自らの費用で一定の段階まで育成した後、社団法人家畜改良事業団に無償で貸し付けております。この貸付けを無償で行っているのは適切か、貸付先の選定方法は適切かなどについて検査いたしました。
検査の結果でございますが、種雄牛の貸付先は事業団以外にもあると認められるのに、事業団のみが貸付けを無償で受け、貸付牛に係る凍結精液の生産、販売を独占的に行って多額の販売収入を得ていて、貸付牛を一定の段階まで育成し所有しているセンターが貸付けの対価を得ていない事態は適切とは認められないことなどから、センター理事長に対して、種雄牛の貸付けについて有償化するとともに、貸付先の選定に当たっては競争入札を行うなど、契約の競争性を確保して増収を図るよう改善の処置を要求いたしました。
〔後略〕
1 特殊法人の独立行政法人化等に係る会計処理の透明性の向上について
特殊法人が独立行政法人や株式会社に移行するに当たり、会計基準の変更に伴い発生した欠損金等について、法律に基づき、国からの出資金や貸付金を減少させるなどの会計上の処理が行われることがあるが、その結果として減少した国の資産の額は必ずしも明らかにはなっていない。また、特殊法人等の独立行政法人化により、運営費交付金の使途などに関する国会における財政統制が困難になっている。
政府は、特殊法人の独立行政法人化等に伴い減少した国の資産の額及び減少した理由について法人別に明確にし、説明責任を果たすべきである。また、政策金融機関の整理・統合に当たっては、会計基準の変更に伴い発生する欠損金を国の資産により手当てすることに慎重であるべきであり、今後、これら欠損金について措置を講じた場合は、その内容を本委員会に報告すべきである。さらに、独立行政法人化により無償譲渡された政府資産の処分状況を始め、運営費交付金の使途及び剰余金の状況等については、その内容を厳しく精査し、情報公開に努めるべきである。
2 独立行政法人の業務発注に係る契約方式及び事務事業の見直しについて
独立行政法人の業務発注に係る契約方式に関して、随意契約の限度額を国の基準よりも高く設定している法人が数多く見られるほか、一般競争入札方式でありながら落札率100%で発注している例も散見される。また、関連法人への天下りが多数に上るほか、それらの関連法人に対し、随意契約で業務を発注している実態が明らかになっている。
政府は、101独立行政法人すべてを対象に見直しを行い、年内を目途に整理合理化計画を策定することとしているが、このような状況にかんがみ、その業務発注に係る契約方式及び事務事業について徹底した調査、見直しを行うべきである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、「独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
この報告書は、二十年十一月七日に提出いたしました報告書におきまして引き続き検査を実施して、取りまとめができ次第報告することとしておりました事項に関するものであります。 全独立行政法人百法人を対象として検査しましたところ、随意契約の見直し状況については、より競争性の高い契約方式に移行したものが相当数あるものの、十分に競争の効果が発揮されているとは言えない状況にあったり、競争性等の確保に関して検討すべきであったと認められる事態が見受けられたりしていました。また、再就職者が在籍している公益法人等においては、在籍していない公益法人等に比べて、一法人当たりの随意契約件数等が多くなっているなどしていました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、随意契約見直し計画に基づく契約の見直しについて、競争性等の確保に十分留意しつつ着実に実施することなどが必要であると考えております。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
最初に、「国土交通省の地方整備局等における庁費等の予算執行に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
検査しましたところ、国土交通省の地方整備局等における庁費等の契約については、一般競争契約の件数割合は上昇していましたが、一者応札の割合が四〇%以上を占めていました。また、個別に少額随契を行うことなく一括化して、一般競争契約による購入を検討すべきもの、経済性等を考慮した仕様の設定を検討すべきものなどがありました。国土交通省の地方整備局等や厚生労働省の都道府県労働局における庁費等の執行については、一般会計と特別会計の計上区分等が合理的とは認められない事態が見受けられました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、契約方式の見直しや合理的な計上区分などに留意することにより、経済的、効率的な庁費等の執行に努める必要があると考えております。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
最後に、「各府省所管の公益法人に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
検査しましたところ、公益法人の財務、特に内部留保については、補助事業の実施、財務の透明性、内部留保額等の算出、基金事業の運営等の面で、また、国が発注している調査研究事業については、契約の競争性、予定価格の算定、契約の履行、成果物の公表等の面で、それぞれ課題が見受けられました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、財務、特に内部留保については、国の支出の状況がより明らかになるように努めること、内部留保の規模が適正になるよう指導すること、基金規模の検討を常に行い、基金設置の趣旨に沿った管理等について指導することなど、また、国が発注している調査研究事業については、契約等において実質的な競争性の確保に努めること、予定価格の算定の合理性の向上に努めること、契約の適切な履行を確保すること、成果物の公表を推進することなどが必要と考えております。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、「防衛装備品の商社等を通じた輸入による調達に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
検査しましたところ、防衛装備品の一般輸入は原則として一般競争契約又は公募によることとされていますが、不落随契や公募後の随意契約が多数となっていました。また、本院が、外国製造会社からの見積書の写しの防衛省による真正性確認の調査において未回答とされていた契約の一部について、外国製造会社に対し真正性の確認を行ったところ、真正でないとの回答があったものがありました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、防衛省は、今後の防衛装備品の一般輸入による調達に当たっては、競争性の拡大や過大請求事案の再発防止のための対応策を実施することが必要であると考えております。
〔後略〕
3 社会保険庁において、国民年金、厚生年金の支給漏れにより年金給付額を訂正した件数が平成十三年度からの六年間で約二十二万件に達していることに加え、該当者不明の年金保険料納付記録の件数が約五千万件に達しているなどのずさんな記録管理が明らかになり、公的年金に対する国民の信頼を大きく失墜させたことは、極めて遺憾である。
政府は、年金給付額の誤りを防止するため、年金受給開始手続時における厳格なチェック体制の構築に努めるとともに、該当者不明の保険料納付記録の早急かつ徹底的な調査、これまでの支給漏れ実態の把握、救済策の検討等に真摯に取り組み、公的年金に対する国民の信頼回復に万全を期すべきである。
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕
次に、「年金記録問題に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
検査しましたところ、基礎年金番号への統合等の状況や年金記録問題への対応に係る随意契約の締結、契約の履行及びその確認の実施状況等において適切でない事態等が見受けられました。また、年金記録問題の再発防止に向けた体制整備の状況については、年金記録問題の課題等について改善を図るための各種取組を実施するなどしておりました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、オンラインシステム上の年金記録とオンラインシステム上にない被保険者名簿等の記録八億五千万件との突き合わせについては多額の経費が発生することが見込まれていることから、実施方法等を定期的に検証すること、年金記録相談において判明した年金記録を早期に基礎年金番号に統合するなど是正を図ること、年金記録問題への対応に係る予算の適切な執行に努めること、年金記録問題の課題等について改善を図るための各種取組に対する評価を適切に実施して年金記録問題の再発防止に努めることなどが必要であると考えております。
〔後略〕
○会計検査院長(西村正紀君) 〔前略〕同様の説明を22年4月6日の衆議院決算行政監視委員会でも行っている。
次に、平成二十年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、平成二十一年九月八日、内閣から平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を行って、平成二十年度国有財産検査報告とともに、平成二十一年十一月十一日、内閣に回付いたしました。
平成二十年度末の国有財産現在額は百二兆三千六百九十億余円、無償貸付財産の総額は一兆八百八十六億余円になっております。
検査の結果、国有財産の管理及び処分に関しまして、平成二十年度決算検査報告に掲記いたしたものは十一件であります。
その内訳は、不当事項といたしまして、国有林野の貸付料等の算定に関するもの、意見を表示し又は処置を要求した事項といたしまして、新設等工事により取得するなどした国有財産等の国有財産台帳等への記録に関するもの、国有財産の登記に関するもの、独立行政法人日本貿易振興機構が保有する保証金に関するもの、道路情報管理業務を集約して行うために取得した施設に係る財産の国有財産台帳への記録に関するもの、国立公園等における施設の新設等工事により取得した国有財産の台帳価格に関するものなど、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしまして、物納財産として引き受けた土地に係る国有財産台帳の価格改定を適切に行うよう改善させたもの、不要とされている資産について、譲渡を含む適切な処分に向けた調整を積極的に進めて、調整がつかない場合には国庫へ返納することとする処分計画を作成し、処分を円滑に進めるよう改善させたもの、特定検査対象に関する検査状況といたしまして、独立行政法人及び国立大学法人が管理運営する福利厚生施設等の状況に関するものとなっております。
以上をもって概要の説明を終わります。
よろしくお願い申し上げます。
○委員長(藤末健三君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。斉藤会計検査院事務総局第五局長。翌5月27日の本会議でこの決算は議決されたが、委員長報告においては会計検査院の報告について言及は無い。
○説明員(斉藤邦俊君) 日本放送協会の平成二十年度及び二十一度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。
協会の平成二十年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書等は、平成二十一年七月二十七日に内閣から送付を受け、その検査を行って、同年十一月十一日に内閣に回付いたしました。
〔略〕
協会の二十年度の決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
これは、コンピューターサービスの調達の実施に当たり、特定調達規程等の適用範囲について理解が十分でなく、特定調達の対象とならないと誤認していたため、必要な契約事務を行っていないなどの事態が見受けられました。これについて指摘したところ、特定調達に該当するものであることを踏まえ、契約事務に係る透明性、公正性及び競争性を確保するための処置を講じたものであります。
〔略〕
以上をもって概要の説明を終わります。