<目次>
○会計検査院長(伏屋和彦君) 平成十九年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、平成二十年九月九日、内閣から平成十九年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を行って、平成十九年度決算検査報告とともに、平成二十年十一月七日、内閣に回付いたしました。
平成十九年度の一般会計決算額は、歳入八十四兆五千五百三十四億余円、歳出八十一兆八千四百二十五億余円、各特別会計の決算額の合計額は、歳入三百九十五兆九千二百三億余円、歳出三百五十三兆二千八百三十一億余円でありまして、会計検査院はこれらの決算額を確認いたしました。
また、国税収納金整理資金は、収納済額六十二兆七千三十七億余円、歳入組入額五十一兆七千七百九十三億余円でありまして、会計検査院はこれらの受払額を検査完了いたしました。
政府関係機関の平成十九年度の決算額の総計は、収入二兆六千三十八億余円、支出二兆六百四十五億余円でありまして、会計検査院はこれらの決算額を検査完了いたしました。
平成十九年度の歳入、歳出等に関し、会計検査院は、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について書面検査及び実地検査を実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して九百余事項の質問を発しております。
検査の結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を御説明いたします。
まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項は合計八百五十九件、三百七十七億千六百三十五万余円であります。
このうち、収入に関するものは二十七件、三十四億二百八十万余円であります。
その内訳は、租税の徴収額等が適正でなかったもの、保険料の徴収額が適正でなかったもの、現金が領得されたものなどとなっております。
また、支出に関するものは八百十五件、百六十二億五千四万余円であります。
その内訳は、会計経理が適正を欠いているもの、委託費の支払が過大となっているもの、保険の給付が適正でなかったもの、医療費の支払が過大となっているもの、補助事業の実施及び経理が不当なものなどとなっております。
以上の収入、支出に関するもののほか、現金等が領得されたもの、保険の引受けが適切でなかったものが十七件、百八十億六千三百五十万余円であります。
次に、平成十九年十一月から二十年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十四条又は第三十六条の規定により意見を表示し又は処置を要求いたしましたものは五十三件であります。
その内訳は、浄化槽設置整備事業及び浄化槽市町村整備推進事業の実施に関するもの、部隊発注工事により取得した財産の国有財産台帳等への記録に関するもの、市町村合併に係る特別交付税の額の算定に関するもの、国有財産の管理における登記の嘱託に関するもの、エネルギー対策のための地域新生コンソーシアム研究開発委託事業で取得した物品の管理に関するものなどとなっております。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項は五十五件であります。
その内訳は、療養給付費負担金の交付額の算定に当たっての退職被保険者の被扶養者の適用に関するもの、地域バイオマス利活用交付金に係る施設整備事業等における事業実施の確実性に係る審査等に関するもの、土地開発公社等が先行取得した用地を地方公共団体が取得する場合のまちづくり交付金等の交付対象事業費の範囲に関するもの、進展のめどが立たない送信所の建設事業の見直しに関するもの、包括保証保険契約における保険引受けの進捗状況の把握に関するものなどとなっております。
次に、不当事項に係る是正措置等の検査の結果につきましては、昭和二十一年度から平成十八年度までの決算検査報告に掲記した不当事項のうち、是正措置が未済となっているものは二十九省庁等における四百六十五件、百三十一億八千四十万余円、このうち金銭を返還させる是正措置を必要とするものは二十八省庁等における四百六十二件、百三十億七千八百七十八万余円となっております。
また、平成十四年度から十八年度までの決算検査報告に掲記した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のうちに、改善の処置が一部履行されていなかったものが七件あり、このうち二件については不当事項として掲記しております。
次に、平成十九年十一月から二十年十月までの間におきまして、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して報告いたしましたものは七件であります。
その内訳は、さきに御説明いたしました療養給付費負担金の交付額の算定に当たっての退職被保険者の被扶養者の適用に関するもののほか、裁判員制度に係る広報業務の実施状況に関するもの、介護保険における財政安定化基金の基金規模に関するもの、広報誌の調達方法に関するもの、国及び国が資本金の二分の一以上を出資している法人における談合等に係る違約金条項の導入状況等に関するもの、国土交通省における談合等に係る違約金条項の見直しに関するもの、独立行政法人水資源機構における談合等に係る違約金条項の見直しに関するものとなっております。
次に、平成十九年十一月から二十年十一月までの間におきまして、国会からの検査要請事項に関し、会計検査院法第三十条の三の規定により検査の結果を報告いたしましたものは六件であります。
その内訳は、各府省等が締結している随意契約に関するもの、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおけるスポーツ振興くじの実施状況に関するもの、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省に関する政府開発援助につき、技術協力の実施状況及び技術協力に係る援助の効果に関するもの、政府開発援助の無償資金協力及び技術協力における契約入札手続等に関するもの、ODA事業の執行状況に関するもの、独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況に関するものとなっております。
次に、本年国会から検査の要請を受けた事項に関連する検査の結果又は検査の状況を検査報告に掲記いたしましたものは五件であります。
その内訳は、ねんきん特別便の作成及び発送準備業務に係る委託契約において、仕様書の記載、委託業者への指示等が適切でなかったため、再度、ねんきん特別便の作成及び発送が必要となり不経済となっているもの、職員の不正行為による損害が生じたもの、国土交通省における一般乗用旅客自動車の使用状況に関するもの、道路整備特別会計における支出の状況に関するもの、防衛装備品の一般輸入による調達に関するものとなっております。
次に、本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認め、検査報告に掲記いたしましたものは五件であります。
その内訳は、金融システムの安定化のために実施された公的資金による金融機関に対する資本増強措置の実施状況及び公的資金の返済状況等並びに預金保険機構の財務の状況に関するもの、租税特別措置(青色申告特別控除)等の適用状況等に関するもの、都道府県等における国庫補助事業に係る事務費等の経理等の状況に関するもの、国鉄清算業務に係る財務に関するもの、ベトナムに対する円借款事業において道路建設中に発生した橋げたの崩落事故に関するものとなっております。
最後に、国民の関心の高い事項等に関する検査の状況として、これまで御説明いたしました事例などを整理し、検査報告に掲記しております。
以上をもちまして概要の説明を終わります。
会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なおただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいても更に特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
〔中略〕 よろしくお願い申し上げます。
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により、国会及び内閣に対して、平成二十年五月二十一日及び七月二十五日に計六件の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
最初に、「介護保険における財政安定化基金を適切な基金規模に保つため、都道府県が基金の一部を拠出者に返還することが適切と判断した場合に、基金規模を縮小できるような制度に改めるよう厚生労働大臣に対して改善の処置を要求したもの」を御説明いたします。
厚生労働省及び二十四都道府県において会計実地検査を行い、財政安定化基金の造成、貸付け等の状況等について検査いたしました。
検査の結果でございますが、二十四都道府県における造成額に対する貸付け・交付額の割合は、第一期では十七都道府県、第二期では十九都道府県で三〇%を下回っているなど、当該基金の保有額は多くの都道府県で基金需要に対応した規模を大きく上回るものとなっております。しかし、現行制度においては、基金規模に余裕があっても拠出者に返還するなど基金規模を適切な規模に調整する仕組みとなっていないため、このまま推移すると、国が拠出した財政資金が効果を十分発現することなく保有される事態になることから、厚生労働省に対して、適切な基金規模に保つため、都道府県が基金の一部を拠出者に返還することが適切と判断した場合に、基金規模を縮小できるような制度に改めるよう改善の処置を要求いたしました。
〔後略〕
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「厚生労働省において、療養給付費負担金の交付額の算定を適切なものにするため、国民健康保険における退職被保険者の被扶養者の適用を的確に行うよう改善させたもの」を御説明いたします。
二十八都道府県の二百七十七市区において会計実地検査を行い、国民健康保険の退職被扶養者の適用が的確に行われ、ひいては、療養給付費負担金の交付額の算定が適切に行われているか検査いたしました。
検査の結果でございますが、届出勧奨を的確に行っていないものや届出勧奨を的確に行ってもなお未適用者がいるものが見受けられましたので、厚生労働省に指摘いたしましたところ、同省は、退職被扶養者に係る届出を省略した適用を行うことができるよう制度を整備したり、届出勧奨の具体的方法を定めたりするなどの処置を講じました。
本院としては、今回会計実地検査を行った二十八都道府県を含むすべての都道府県において引き続き検査していくこととしております。
〔後略〕
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「独立行政法人日本芸術文化振興会において、広報誌の調達方法を、購入による方法から自ら作成し発行する方法に改めることにより、経済的なものとするよう改善させたもの」を御説明いたします。
独立行政法人日本芸術文化振興会において会計実地検査を行い、広報誌の調達が適切かなどについて検査いたしました。
検査の結果でございますが、広報誌のうちの日本芸術文化振興会ニュースについては財団法人清栄会が発行したものを購入しておりましたが、同ニュースの作成の実態等から見て、同振興会自らが発行することとした上で、編集業務については自ら又は委託により行い、印刷・製本業務については業者に請け負わせるなどすることにより、経済的な調達を行う必要があると認められました。そこで、同振興会に指摘いたしましたところ、同振興会は、同ニュースを自ら発行することとして、編集業務は自ら実施し、印刷・製本業務は一般競争入札を実施して請負契約を締結し、調達価格の節減を図る処置を講じました。
〔後略〕
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「国及び国が資本金の二分の一以上を出資している法人における談合等に係る違約金条項の導入状況等について」を御説明いたします。
国及び国が資本金の二分の一以上を出資している法人を対象として検査いたしましたところ、全部又は一部の契約種類について違約金条項を導入していない機関がありました。また、課徴金の納付命令が行われない場合などに違約金の支払を受けられないことになるものや、談合等により生じた損害が回復されていないものなどがありました。そして、違約金条項が付されていない契約は、損害の回復に時間を要している状況でありました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、違約金条項を導入していない機関において適切に違約金条項の導入を行うこと、違約金条項に規定する内容について、談合等の発生に対応して的確に違約金条項を適用し、損害の回復を行うことができるものにすること、談合等により生じた損害の回復がなされていない契約について、早期の損害回復に努めることなどが必要であると考えております。
本院としては、今後とも違約金条項の導入及び見直しの状況並びに談合等により生じた損害の回復状況等について引き続き注視してまいりたいと考えております。
〔後略〕
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「国土交通省において、談合等に係る違約金条項について、課徴金減免制度の適用を受けて課徴金の納付を免除された事業者に対しても違約金を請求することができるよう改善させたもの」を御説明いたします。
国土交通本省及び二地方整備局において会計実地検査を行い、同省発注の水門設備工事における談合事件後の違約金条項の見直し状況について検査いたしました。
検査の結果でございますが、課徴金の納付を免除された事業者との契約については、違約金条項の見直しには至っておらず、違約金条項に基づく速やかな損害の回復ができない状況となっている事態が見受けられましたので、国土交通省に指摘いたしましたところ、同省は、違約金条項の見直しを行い、課徴金の納付を免除された事業者に対しても違約金を請求することができるよう処置を講じました。
〔後略〕
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
最後に、「独立行政法人水資源機構において、談合等に係る違約金条項について、課徴金減免制度の適用を受けて課徴金の納付を免除された事業者に対しても違約金を請求することができるよう改善させたもの」を御説明いたします。
独立行政法人水資源機構本社において会計実地検査を行い、同機構発注の水門設備工事における談合事件後の違約金条項の見直し状況について検査いたしました。
検査の結果でございますが、課徴金の納付を免除された事業者との契約については、違約金条項の見直しには至っておらず、違約金条項に基づく速やかな損害の回復ができない状況となっている事態が見受けられましたので、独立行政法人水資源機構に指摘いたしましたところ、同機構は、違約金条項の見直しを行い、課徴金の納付を免除された事業者に対しても違約金を請求することができるよう処置を講じました。
〔後略〕
○検査官(西村正紀君) 会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、平成二十年十二月十七日に「独立行政法人における食事手当等の現金の支給について」の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
会計検査院は、経済性等の観点から、すべての独立行政法人を対象として、給与の支給状況に係る調書を徴することにより検査を行い、その結果、更に必要があると認められた八独立行政法人において会計実地検査を行いました。
検査の結果でございますが、会計実地検査を行った八独立行政法人は、独立行政法人に移行してからも、全部又は一部の職員に対して、内規に定めるなどして食事手当等の名称で月ごとに一定額を現金で支給しており、独立行政法人移行時から二十年九月までの支給額の合計は十二億九千七百五十四万円となっておりました。このように、独立行政法人通則法の趣旨を踏まえて社会一般の情勢に適合したものであるかなどの検討を十分に行わないまま食事手当等を現金で支給し続けている事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められました。
そこで、八独立行政法人にこの旨を指摘いたしましたところ、五独立行政法人は、二十年十一月までに内規を廃止するなどして、それ以降は支給しないこととする処置を講じました。また、二十年十一月以降も支給し続けている三独立行政法人に対しては、独立行政法人通則法の趣旨を踏まえて支給の適否等を十分検討することにより、食事手当等に係る内規を廃止するなどするよう、会計検査院法第三十六条の規定により改善の処置を要求いたしました。
これをもって報告書の概要の説明を終わります。
1 平成十六年度に中央省庁が実施した一件五百万円以上の工事の発注や、業務委託等の契約に占める随意契約の件数の割合が約七十パーセントと極めて高率になっており、中でも、国土交通省所管の各建設協会などを始め所管公益法人に発注した契約には、随意契約割合が百パーセント、あるいはそれに近い高率になっている例が少なからず見られ、さらに、これらの公益法人に多数のOBが天下っていることは、契約の公平性、競争性及び透明性の確保に疑念を抱かせ、看過できない。また、IT調達にあっては、民間企業を相手とする随意契約が金額の七割から八割を占めている省庁もある。
政府は、随意契約の見直しに当たっては、相手方の官民を問わず一般競争入札を原則とし例外的に随意契約を認めている会計法の精神に照らして厳格な運用に努めるとともに、所管公益法人等への業務委託の実施に当たっては、天下りの状況も含め積極的に情報開示を行うなど、国民の不信を招くことのないよう厳正に対処し、公共調達の適正化に努めるべきである。
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
最初に、「各府省等が締結している随意契約に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
この報告書は、十九年十月十七日に提出いたしました報告書におきまして、引き続き検査を実施して、取りまとめができ次第報告することとするとしておりました事項に関するものであります。
検査しましたところ、随意契約の割合は減少しているものの、競争契約や企画競争においては一者応札、一者応募の割合が増加しておりました。そして、随意契約から競争契約等に移行したものの中には、競争性の確保に関して検討の必要があったものなどが見受けられました。また、随意契約先公益法人のうち所管府省退職者の再就職者が在籍している法人は、在籍していない法人に比べて、一法人当たりの随意契約件数や支払金額が多いなどの状況となっておりました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、競争契約や企画競争を行うに当たっては実質的な競争性の確保に努めること、契約発注元府省等退職者の再就職者が在籍している法人を随意契約の相手方とする場合には、特に透明性の確保に留意し、十分説明責任を果たせるようにすることなどに留意することが必要と考えております。
本院としては、今後とも、各府省等の契約について、多角的な観点から引き続き検査していくこととしております。
〔後略〕
9 独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営するスポーツ振興くじ(いわゆる「toto」)については、売上実績が当初の目標を下回り、その目的であるくじ収益からスポーツ振興事業への助成も少額にとどまっている上に、くじの販売業務等の委託経費により生じた累積欠損金が多額に上り、また、運営状況及び財政状況が財務諸表に適切に反映されていなかったことは、看過できない。
政府は、独立行政法人日本スポーツ振興センターに対して、累積欠損金の解消に向けた現実的で国民の理解を得られる対応を求め、その負担が国民に及ぶことがないよう尽力するとともに、「toto」の制度そのものの在り方を再検討すべきである。
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施しているスポーツ振興くじに関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
独立行政法人日本スポーツ振興センター、文部科学省及び業務の委託先において会計実地検査を行いましたところ、売りさばきなどの業務を一括して委託していた第一期は、売上金額が想定をはるかに下回ったことにより、販売システムの運用経費及び開発規模が相対的に大きなものとなって、多額の繰越欠損金を計上しておりました。直接運営することとなった第二期は、開発規模を見直して運用経費を減少させ、また、新たなくじBIGの売上げの増加により、繰越欠損金が減少しておりました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、販売システムの運用経費及び開発規模について事後の確認、検証を可能とする体制を構築して事後的検証を行う必要があり、また、損失が発生した場合の措置に係る制度上の整備を検討することも課題になると考えられます。そして、繰越欠損金を早期に解消するとともに、国庫納付を着実に行いながらスポーツ振興のために必要な資金を確保し、もってスポーツの振興に寄与するという制度本来の目的の達成に努めることが肝要であると考えております。
本院としては、多角的な観点から引き続き検査していくこととしております。
〔後略〕
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省所管の政府開発援助に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
検査しましたところ、政府開発援助とは直接関係のない業務に政府開発援助事業予算を使用したり、事業が計画どおりに進捗していなかったりなどしている状況となっていました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、実施した援助については我が国の国際貢献として正当な評価が得られることが望まれることから、五省においては、外務省等との連携を図りつつ、技術協力の適切な実施及び効果の確保に努める必要があると考えております。
本院としては、今後とも、技術協力が適切に実施され、援助の効果が十分に上がっているかについて、多角的な視点から引き続き検査していくこととしております。
〔後略〕
また、18年6月15日の参議院決算委員会理事会で、「国会法第105条に基づく会計検査院に対する検査要請(18.6.7)について」として、会計検査院は、要請された検査の結果のうち、無償資金協力とベトナムの個別事案について19年10月17日に報告し、技術協力について20年10月8日に報告している。20年10月の報告の概要は20年11月12日の参議院決算委員会で会計検査院長が次のように説明している。
〔1〕 技術協力については、我が国援助実施機関が実施する、海外での施設の建設や海外向けの資機材の調達等の契約
〔2〕 ベトナムにおける、ベトナム交通運輸局第18事業管理局(PMU18)が関係する我が国の政府開発援助
の両事項が含まれることが確認され、報告については、19年次及び20年次に行うよう求めることとされた。
会計検査院は、これを受けて、19年次は、無償資金協力において被援助国が実施する施設の建設や資機材の調達等の契約及びベトナム交通運輸局第18事業管理局(PMU18)が関係する我が国の政府開発援助について検査を実施し、報告することにした。また、20年次は、技術協力において被援助国が実施する施設の建設や資機材の調達等の契約及び我が国援助実施機関が実施する海外での施設の建設や海外向けの資機材の調達等の契約についてそれぞれ検査を実施し、報告することにした。
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「我が国政府開発援助における無償資金協力及び技術協力において被援助国が実施する施設の建設や資機材の調達等の契約に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
この報告書は、十九年十月十七日に提出いたしました報告書におきまして、技術協力について引き続き二十年次に検査を実施して、取りまとめができ次第報告することとするとしておりました事項に関するものであります。
検査しましたところ、対象となる契約を締結していたのは独立行政法人国際協力機構及び財団法人海外漁業協力財団のみでした。国際協力機構において、一般競争入札が実施されていた現地調達は四・七%と極めて少ない状況となっていました。また、その平均落札率は、本邦における資機材調達が八三・七三%、現地における施設建設が九一・五二%、現地における資機材調達が九〇・二七%となっていました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、国際協力機構は、現地調達を行う際は、一般競争入札等に付し難い場合であっても指名見積り競争により契約を締結するよう努力して競争性を高めていくことが望まれます。
本院としては、無償資金協力及び技術協力に係る契約が適切に実施されているか、引き続き検査を実施することとしております。
〔後略〕
1 開発コンサルタント、NPO等への委託契約の状況について会計検査院は、要請された検査の結果を18年9月21日に報告し、3項目のうち1及び3について、19年9月12日に報告しており、さらに3について、20年に報告している。その概要は20年11月12日の参議院決算委員会で会計検査院長が次のように説明している。
特に
・対コスタリカODAにおける株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)に係る不祥事の概要、同種事案の有無
・外務省、JICA及びJBICのPCI等日本の開発コンサルタント会社に対する事務・業務の委託契約の状況
2 草の根・人間の安全保障無償援助の実施状況について
3 スマトラ沖地震の緊急援助の実施状況について
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、「政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
この報告書は、十八年九月二十一日及び十九年九月十二日に提出いたしました報告書におきまして、引き続き検査を実施して、取りまとめができ次第報告することとするとしておりました事項に関するものであります。
検査しましたところ、スマトラ沖地震で被災したインドネシア共和国等三か国に対して緊急援助として実施されたノンプロジェクト無償資金協力事業において、資金供与額に対する支払済額の割合である支払率は、二十年三月末現在、八七・七%から九一・三%となっていました。また、中止又は解除をした契約のうち、請負業者に支払った前払金等が返還されていない事態が見受けられました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、給付が完了したものが着実に増加してきているものの、請負業者に支払った前払金等がこのまま返還されない場合には資金が有効に活用されないことになることから、外務省は、早期の返還が実現するよう相手国政府に対する働きかけを継続して行う必要があると考えております。
本院としては、中長期的な事業効果について引き続き検査を実施することとしております。
〔後略〕
1 特殊法人の独立行政法人化等に係る会計処理の透明性の向上について
特殊法人が独立行政法人や株式会社に移行するに当たり、会計基準の変更に伴い発生した欠損金等について、法律に基づき、国からの出資金や貸付金を減少させるなどの会計上の処理が行われることがあるが、その結果として減少した国の資産の額は必ずしも明らかにはなっていない。また、特殊法人等の独立行政法人化により、運営費交付金の使途などに関する国会における財政統制が困難になっている。
政府は、特殊法人の独立行政法人化等に伴い減少した国の資産の額及び減少した理由について法人別に明確にし、説明責任を果たすべきである。また、政策金融機関の整理・統合に当たっては、会計基準の変更に伴い発生する欠損金を国の資産により手当てすることに慎重であるべきであり、今後、これら欠損金について措置を講じた場合は、その内容を本委員会に報告すべきである。さらに、独立行政法人化により無償譲渡された政府資産の処分状況を始め、運営費交付金の使途及び剰余金の状況等については、その内容を厳しく精査し、情報公開に努めるべきである。
2 独立行政法人の業務発注に係る契約方式及び事務事業の見直しについて
独立行政法人の業務発注に係る契約方式に関して、随意契約の限度額を国の基準よりも高く設定している法人が数多く見られるほか、一般競争入札方式でありながら落札率100%で発注している例も散見される。
また、関連法人への天下りが多数に上るほか、それらの関連法人に対し、随意契約で業務を発注している実態が明らかになっている。
政府は、101独立行政法人すべてを対象に見直しを行い、年内を目途に整理合理化計画を策定することとしているが、このような状況にかんがみ、その業務発注に係る契約方式及び事務事業について徹底した調査、見直しを行うべきである。
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
最後に、「独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
全独立行政法人の本部等百二か所等において会計実地検査を行いましたところ、政府出資の資産を売却して得た資金等については、法人内部に留保されているものがあるなどしていました。また、発注元独立行政法人退職者の再就職者が在籍している公益法人等は、在籍していない公益法人等に比べ、一法人当たりの随意契約件数等が多くなっているなどしていました。
検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、法人内部に留保されることとなる資金について減資に関する立法措置を速やかに講ずること、競争契約を拡大して契約の透明性の向上を図ることなどに留意することが必要であると考えております。
本院としては、個別の随意契約の見直し状況に係る検証を終えるに至っていない部分があることなどから、引き続き検査を実施して、検査の結果については、取りまとめができ次第報告することとしております。
これをもって、これら報告書の概要の説明を終わります。
〔後略〕
○会計検査院長(伏屋和彦君) 〔前略〕
次に、平成十九年度国有財産検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。
会計検査院は、平成二十年九月九日、内閣から平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を行って、平成十九年度国有財産検査報告とともに、平成二十年十一月七日、内閣に回付いたしました。
平成十九年度末の国有財産現在額は百五兆千六百七十六億余円、無償貸付財産の総額は一兆八百五十九億余円になっております。
検査の結果、国有財産の管理及び処分に関しまして、平成十九年度決算検査報告に掲記いたしましたものは十四件であります。
その内訳は、不当事項といたしまして、中型回転翼航空機の調達に関するもの、意見を表示し又は処置を要求した事項といたしまして、衆議院赤坂議員宿舎整備等事業契約における消費税の取扱いに関するもの、国有財産の管理における登記の嘱託に関するもの、監督測量船の効率的な運用等に関するもの、部隊発注工事により取得した財産の国有財産台帳等への記録に関するもの、宿舎、庁舎分室等の建物及びこれらに係る用地の保有状況に関するものなど、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしまして、合同宿舎における駐車場の使用料の徴収に関するもの、社会保険病院等における国有財産の使用許可の手続及び使用料の徴収に関するもの、国営公園における臨時駐車場の占用許可に係る土地使用料の算定に関するもの、進展のめどが立たない送信所の建設事業の見直しに関するもの、国会からの検査要請事項に関する報告といたしまして、独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況に関するものとなっております。
以上をもって概要の説明を終わります。
○委員長(内藤正光君) 最後に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。真島会計検査院事務総局第五局長。そして、6月26日の参議院本会議で次のように説明されている。
○説明員(真島審一君) 日本放送協会の平成十九年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。
協会の平成十九年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成二十年六月二十七日に内閣から送付を受け、その検査を行って同年十一月七日に内閣に回付いたしました。
協会の十九年度の決算につきまして検査いたしました結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項はございません。
以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○委員長(内藤正光君) 以上で説明の聴取は終わりました。
○内藤正光君 ただいま議題となりました案件につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本件は、日本放送協会の平成十九年度決算の書類であり、放送法の定めるところにより、会計検査院の検査を経て内閣から提出されたものであります。また、衆議院は23年7月14日の総務委員会で審査を行い、7月15日の本会議で議決している。
その概要は、一般勘定が、同年度末における資産総額七千八百五十三億円に対し、負債総額は二千六百二十三億円、資本総額は五千二百二十九億円となっております。
また、同年度中の損益の状況は、経常事業収入が六千八百四十七億円、経常事業支出が六千四百十六億円であり、差引き経常事業収支差金は四百三十一億円となっており、これに経常事業外収支及び特別収支の差金を加えた当期事業収支差金は三百七十五億円であります。このうち、八億円は資本支出に充当し、三百六十七億円は翌年度以降の財政安定のための財源として繰り越しております。
なお、本件には、「記述すべき意見はない」旨の会計検査院の検査結果が付されております。
委員会におきましては、放送の不偏不党と番組編成における公平公正の確保、取材・編集に当たっての放送倫理の徹底、放送番組の政治からの自主自律の確保とBPOの放送倫理検証委員会の意見書に対するNHKの対応、NHKオンデマンドの推進と著作権処理、難視聴解消のための衛星放送の在り方、生活保護世帯等に係るデジタル放送移行後のテレビ視聴の確保等について質疑が行われました。
質疑を終局し、採決の結果、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)