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会計検査院一職員のメモ検査報告>18年の検査報告

18年の検査報告(平成17年度決算検査報告のポイント)

 国会との連携財政統制違反の指摘随時報告要請検査報告〕、基本的な会計経理不実経理当然表示
 業績検査廃止効果低調施策検証成果向上

 18年の検査報告を特徴付ける最大のものは「国会との連携」である。会計検査院は18年次の検査(計画策定期間17年9月〜12月。検査実施期間17年10月〜18年9月。結果取りまとめ期間18年7月〜11月)に臨んで策定した「平成18年次会計検査の基本方針(平成17年9月2日策定。会計検査院法改正により11月7日一部改正)において、「3 会計検査の基本方針」において新たに(前年次はこちら「(5)国会との連携」という項を起こし、次のように明記している。
 検査に当たっては、国会における審議の状況に常に留意する。また、国会の要請に係る事項の検査においては、国会における審査又は調査の必要から要請がなされることに十分留意する。
 もともと、監査というものは監査報告作成のために行われるものであり、会計検査院の検査報告がすべて直接に又は間接に国会へ提出されるものである以上、会計検査院の検査活動が国会、特に国会による財政統制を離れてはあり得ないことは当然であり、それを前提とした上で、さらに「国会との連携」という項を起こしていることに意味がある。この背景には、会計検査院に対して国会、特に参議院決算委員会が示した強い期待がある。17年に参議院の決算委員会は予算・決算のPDS(PDCA)サイクルを確立するために決算審査の充実を図る一環として会計検査院に対して二つの大きなアクションを行った。その一つは、17年6月に参議院決算委員会が国会法第105条に基づく検査要請を9件も行ったことである。その内容も、15年度決算審査を踏まえて政府及び会計検査院に対して行った決算審査措置要求決議を踏まえてのものであり、予算・決算サイクルの確立を図るものであった。そして、今一つは、会計検査院法改正である。参議院サイトは「参議院改革の歴史」の「扇議長の下での動き(平成16年〜)」に「決算審査充実のための会計検査院法改正とODA特別委員会の設置」の項を置き、そこで会計検査院法改正について次のように説明している。
 平成17年8月、改革協議会は、決算委員会が取りまとめた会計検査院法改正案を了承し、その旨を議長に報告した。同年10月、同法改正案が成立し、国等の締結する契約の多様化を踏まえた検査対象の拡大、会計検査の円滑な実施の担保、会計検査院による国会等への報告時期の弾力化が実現するところとなった。平成18年7月には会計検査院から国会及び内閣に対し初めての随時報告が行われ、同年11月には、平成17年度決算の提出に先立ち、決算委員会において会計検査院からの報告聴取と質疑が行われた。
 ちなみに、↑この説明で10月に「成立」としている「会計検査院法改正案」は、8月3日の参議院本会議で可決されたものの、衆議院の解散に伴う審議未了で廃案となり、その後、163国会において10月28日に成立して、11月7日に法律第112号として公布され、即日施行されている。ている。その経過は、「参議院議員提出法律案(成立したもの)審議一覧表」によると、17年10月19日に参議院決算委員長が国会へ提出し、10月21日に参議院本会議で可決、10月26日に衆議院で委員会可決、28日に衆議院本会議で可決されて成立している。

 18年の検査報告の大きな特徴である「国会との連携」は、具体的には、以上の会計検査院に対する国会の期待に対して、国会による財政統制を徹底させるための検査を会計検査院が的確に行っていることを示したことである。具体的には次の3点の活動を上げることができる。
A 国会の財政統制の基本である予算や財政法が遵守されるよう、その違反の有無を検査する
B 国会の審議に適時に供すべき情報は随時報告を行う
C 国会の要請に応えて充実した検査を行う

 については、国の会計経理の規範(強制徴収財源に基づく公会計故の規範)を遵守させるためにそれに違背したもの又は違背するおそれのある事態に指摘したものとして次の17年度決算検査報告掲記事案を挙げることができる。
 随時報告会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣に対する随時の報告)は、まず18年7月に初めて行ったほか、10月に4件行っていて、結局、18年中に5件の随時報告を行っている。この内訳は次のとおり、2件は17年度決算検査報告に記載される指摘事項を別途に報告したものであり、3件は決算検査報告の記載要件とは関係なく報告する必要性を個別に認定したもので、その概要を17年度決算検査報告に記載しているものである。
 の国会の要請に応えた検査については、まず、要請検査報告(国会法第105条による要請に応えて行った検査の結果の報告。その概要は決算検査報告に記載)を18年中に7件も(これまで1年で最も多かったのは17年の2本)行っている。この7件は、17年6月に参議院決算委員会が行った要請9件のうち17年中に報告した2件を除く7件の要請に係るものであり、要請された検査の内容はそれぞれ次のとおりで、従来の会計検査ではそれほど力を入れてこなかったような報告内容も含まれている。

 このほか、16年11月16日の参議院厚生労働委員会で、会計検査院に対して「全国の労働局を対象として、不正経理の有無を十分に念頭に置いた会計検査を実施し、その結果を本委員会に速やかに報告するよう要請」するとの委員長発言を受けて、会計検査院は全国47労働局を17年度末を目途に検査することを表明し、17年次と18年次に会計検査を行っており、この検査の状況を17年度決算検査報告でも報告している。
 なお、Bの随時報告とCの要請検査報告を受け、参議院決算委員会は18年11月15日に委員会を開催して質疑を行っており、そのことを参議院サイトはトピックとして次のように掲出した。
決算委員会、会計検査院の報告を審査 H18.11.15
参議院決算委員会では、平成17年6月の平成15年度決算の議決時に、決算委員会として初めて会計検査院に対し検査要請(9項目)を行いましたが、その結果報告が昨秋の2項目に引き続き今般7項目について国会に提出されたことから、その審査のため、平成18年11月15日(水)、委員会を開会しました。
また、平成17年10月に同委員会が提出し成立した会計検査院法改正案によって導入された会計検査結果の随時報告が、初めて国会に提出されたことから、併せて審査を行いました。
委員会では、特別会計の状況、中心市街地活性化プロジェクトの実施状況等に関する検査要請に対する結果報告と、関西国際空港の経営改善等に関する随時報告について、大塚会計検査院長から説明を聴取し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合が質疑を行いました。


 18年の大きな特徴は国会との連携であるが、ほかに18年の検査報告に示されている会計検査院の活動内容を挙げると次のとおりである。
 まず、基本的な会計経理の検査である。この検査は、ある意味では会計経理の記録の真実性を確保するための検査であり、会計検査の基本と言っても良い。18年次会計検査の基本方針は「今後も、正確性や合規性の観点からの検査を十分行い、その際には、近年一部の府省等において不正不当な事態が相次いだことも踏まえて、特に基本的な会計経理について重点的に検査を行う。」とし、基本的な会計経理の検査の重視を唱えている(この明記は、前年の17年次の方針から記載されているもので、2年目)。その検査の反映を17年度決算検査報告では次のように見ることができる。  基本的な会計経理の検査の次に挙げるべき特徴は業績(performance)の評価を指向した検査であろう。18年次会計検査の基本方針では、「3 会計検査の基本方針」の「(2) 多角的な観点からの検査」として「不正不当な事態に対する検査を行うことはもとより、業績の評価を指向した検査を行っていく。そして、必要な場合には、制度そのものの要否も視野に入れて検査を行っていく。」とし、「近年の厳しい経済財政状況にもかんがみ、経済性・効率性及び有効性の観点からの検査を重視する。特に有効性の観点から、事務・事業及び予算執行の効果について積極的に取り上げるよう努め、その際には、検査対象機関が自ら行う政策評価などの状況についても留意して検査を行う。そして、事務・事業の遂行及び予算の執行に問題がある場合には、原因の究明を徹底して行い、その改善の方策について検討する。」としている。このような検査により、次のような検査結果を17年度決算検査報告で報告している。